Posted on 2019-03-21

#29 長門 敦
/NAGATO ATSUSHI
#大分#アートディレクター#イラストレーター#グラフィックデザイナー
やって“みたい”ではなく。

紹介者:牛島 樹世
初めまして、大分でグラフィクデザインの仕事をしています、長門です。
この度、九州ADCの会員に仲間入りさせていただきました!よろしくお願いいたします。
そして、早速のバトントーク。。牛島さんからの嬉しいバトンが後押しになりました笑
ありがとございます!今度またお会いした時はどうぞよろしくお願いします!
自分の話をするのは恥ずかしいですが、なぜこの仕事をするに至ったか、を記したいと思います。
まず、いきなりですが、私はデザインという仕事を見つけることができ、とても幸せです。
でも、出会うのは一般的には遅かったと思います。
この仕事を志したのは丁度30歳の時。
そこからさかのぼり、美術大学を目指して地元大分で浪人していた時の話から。
その美術予備校には現在も活躍する素晴らしい先輩方がいました。
絵が得意だから、という気持ちでなんとなく美術の道を選んだ私にとって
その先輩達の活動、先生の言葉は全てが新しく、憧れ、同時に
「自分にはこんな才能はない」と思えた、今思えばとても大切な時代でした。
そんな、悶々とした浪人生活のある日、車の中で先生に聞かれたことを今でも覚えています。
「長門くん、芸大に行きたいかい?」
私は「はい、行ってみたいです。」と答えました。
その時「行ってみたいではダメだ。行くという気持ちじゃないと」と言われたことがありました。
この時の言葉は、その後さらに迷走する私の人生の、とても大切な指針になったように思います。
そしてその後、30歳を迎えたある日、忘れもしません。
「広告」という世界を本屋の立ち読みで知った時の
それまで感じたことのない「この仕事をしたい!」というドキドキとした思い。
そのまま、今の仕事をするようになりました。
その時の気持ちは、今も変わりません。
「やってみたい」ではなく、「やりたい!」と初めて思えた仕事です。
先生に心から「やりたいです!」と言えたような気持ちでした。
自分の中にずっとあった「自ら生み出すものが何もない」という劣等感。
でも、何かを始めようとする人のお手伝いをして、共に何かを生み出す仕事としての
「デザイン」と出会えたことが、今とても幸せです。
依頼があった時、「こんな仕事やってみたかった〜」とか思ってしまうとき、
あの時の先生の言葉がいつも気持ちを戻してくれます。
クライアントの「やりたい!」と同じ気持ちに立ち、
それを見える化していく仕事。
まだまだ実践できているとは思えませんが、
これからもずっと大切にしたいことです。
K-ADCアワードに始めて参加し、作品搬入をした日。
643点という圧倒的な作品数の中、いちばん奥のブロックにしっとり佇む
カモメをモチーフにした、美しいパッケージが目に飛び込んできました。
一瞬でトリコになり、どんなデザイナーさんなんだろうと興味津々。
もちろん、私的に思い入れの深い小説「かもめのジョナサン」のシーンがよぎったから。
ジョナサンが海の上を颯爽と駆け巡る数々の姿が潮風のように吹き込み、心の中を一杯にしてくれました。
かもめのジョナサンは、大切な本のひとつ。
2014年に、40年の時を越えて
”幻の最終章”を加筆して完成版が出版されるという、
これまた不思議なお話なのです。
ずっとずっと読まなきゃと思って放置していたのですが、
その方の作品に出会った縁で手に取ることができ、
猛烈な勢いで最終章を読み終えました。
まさかのラストシーンは衝撃。
「生きていくエネルギー」を充填させてもらいました。
自分の心の中に、1羽のかもめが棲みついた、、
とでもいった状況でしょうか。
私がK-ADCアワードで出品した作品も、
小説「檸檬」に端を発したものだったので、
文学という共通項があり勝手に盛り上がっています。
そういうことで、満を持し、思い切って連絡をしてみようと思いまして
お名前を調べ、メッセージを送りました。
彼は大分のデザイナー、長門敦さんという人でした。
次にバトンを渡すことの出来た方が、長門さん。嬉しいです。
ジョナサンの話、したいですね。
お会いできる日がとっても楽しみです!
では、よろしくおねがいします。