Posted on 2018-06-14

#18 松尾 紀之
/MATSUO NORIYUKI
#福岡#アートディレクター#デザイナー
デザインインナーマッスル

紹介者:佐藤 瞳
「こんにちは、佐藤さんからバトンをいただいた松尾です。
何日も放置して本当に申し訳ありません。」と書いているのは、コピーライターの岡 優一です。
これには事情がありまして・・・・。
松尾さんからメールを受け取ったのは、5月の末、深夜2時くらいでした。内容は『僕を取材してください。』
松尾さん!なにかあったんですか?聞けばバトンコラムを書けずにいるとのこと・・・・。
(とにかく文字にして欲しかったみたいです!笑)
『松尾という人間がわかればいいと思います』・・・・と。
ここで恩を売っておけば、何かいいことあるかもと思い、松尾さんの事務所に伺いました。
最初に、申し訳なさそうに「お酒が入ればいいんだけどさぁ、普段は聞き役で、口ベタなんです」と言った松尾さん。
3時間半しゃべり続けましたよwww。全てを知り、終わる頃には、ちょっとまくらを交わしたような関係になりました。
イタコになって書きました。
それでは、松尾さんってこんな人。どうぞ。
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多摩美術大学生だった頃。(2浪してやっと受かりました。)
下宿先の国立市にある音楽スタジオでアルバイトをしていました。音楽プロデューサーの夢破れたオーナーが営むスタジオだったんですが、
僕はケーブルを巻いたり、受付したり・・・・。そこに来る、お堅い感じの仕事帰りのおじさんがいました。
おじさんは、スタジオに入ると人が変わったように音楽に没頭するんです。汗だくで少ない髪の毛振り乱して。
それが帰る時には、またカチッとオフにしてスタジオをあとにする・・・・。なんかそれがカッコイイ反面、
虚しく感じちゃったんです。「本当の自分ってなんだろう?趣味と仕事ってそこまで線引きしないといけないの?」と。
虚しく感じちゃったんです。「本当の自分ってなんだろう?趣味と仕事ってそこまで線引きしないといけないの?」と。
好きなことを仕事にしたい!と僕は思いました。
当時、東京ではグラフィックデザイナーが音楽や映画などと肩を並べてカルチャーを牽引していた時代。
熊本出身の僕からすると全てが洗練されてて、カッコよくて、少しでもそこへ近づきたいと思ったのです。
オリコンチャートを賑わせていたアーティストのCDジャケットなどを手がける事務所に知り合いを介してなんとかバイトで潜り込むことができました。
そこで僕に与えられた仕事は「松尾美術」。
アーティストがジャケットやポスターなどの撮影で身につけるヘッドフォンや小道具をつくり上げるというミッションです。もう、それが本当に大変で!BOSSの自由過ぎるアイデアに応えるべく、ほぼ一日中東急ハンズで使えそうなアイテムを最上階から地下2階まで彷徨いました。無茶ブリの土砂降りです。
シルバーメッキの骸骨が欲しいと言われた時は、全身骨格模型を取り寄せました。
それからタウンページで鏡面塗装をしているところを探し、江戸っこの社長に断られ、
頭を下げ、断られ、怒られ、断られ。今、思い出してもゲッソリ、骸骨になりそうです。
頭を下げ、断られ、怒られ、断られ。今、思い出してもゲッソリ、骸骨になりそうです。
だけど、やっとの思いでつくったモノが褒められたり、世の中に出ていくという喜びを体感し、
それを大切にして毎日、必死にしがみついていました。

そんな日々を3年ほど過ごしたでしょうか。いつの間にか、どんな無茶ブリでも動じなくなっていることに気づいた僕。
「なんとかなるだろう」「これをこうすればイケそうだな」と知恵を絞る体力、モノづくりの発想。
バッキバキのシックスパックみたいなデザインインナーマッスルが鍛え上げられていたのです。笑。
その当時は「封筒の封に使うテープ、電話応対の声、すべてが我が社のアイデンティティー(デザイン)なんだぞ!!!」と
BOSSから言われ続けていたこともあり、ライフスタイルや過ごした時間、佇まい、生き方(生き様と言いたいところですがかっこつけすぎなので自粛)、所作やプロセスが自分がつくったモノに現れると思うようになりました。
要は、どれだけインナーマッスルを鍛えられているか。
自分がつくったものは、自分。
だから、全部自分でやらないと気持ち悪いんです。
最近は動画の素材もつくったりしてるんですが、だったらテロップとかも全部やらせてください!って
言っちゃうんです。ここが器用貧乏なところで困ってるんですけどねえ。

それからは、デザイナーに昇格し11年。
CDジャケットのデザインや家電のブランディングなどを手がけました。
そして、10年前に九州に帰郷、フリーランスのデザイナーへ。
全くブレーンなく初めは不安もありましたが、東京から福岡へ来た転校生の僕を皆さんがあたたかく迎えてくれました。
おかげさまで肝臓もバキバキ鍛えられました。どこへ行っても鍛えられたインナーマッスルを駆使して、なんとかやっています。
最後に・・・「鍛えたインナーマッスルとちょっと出たお腹のギャップがいいでしょ?」
バトンを託させていただくのは、
アートディレクター・デザイナーの松尾紀之さんです。
JAGDAさんのイベントでプレゼン失敗したなあと大層落ち込んでいた時、
松尾さんに励ましていただき、私の希望の光でした。笑
かわいいやんちゃな息子さんにも癒やされています。
そんな若手にも優しく接してくださる松尾さんですが、
いつも素敵なお仕事を拝見し、詳しくお話を聞けていないというのと
きっとみなさんも聞きたいのではないかと思いまして、
ぜひここでお話を聞けたらなと思い託させていただきます。
松尾さんのトークにワクワクしつつ更新を待ちます!