九州アートディレクターズクラブ

BATON TALK

Posted on 2017-09-6

こんにちは、佐世保つながりの佐藤かつあきくんからバトンを受けました、利助オフィスの宮元です。

雑食系クリエイティブ・ディレクターとして、依頼があった仕事は何でもやってます。

いまの仕事の内訳としては、プロモーション全体の企画ディレクションが4割、CM企画が3割、エディトリアルが2割、あとがCIとかWEBといったところでしょうか。

 

 

 

さて、今回はせっかくこういう場をいただいたので、仕事の秘訣だとか、今後社会で果たしていくべき役割など、マジメに考えてみようと思ったのですが・・・なんか全く筆が進まず。。。う〜ん、いかに日頃から何も考えてないかってことですね。

 

ということで、もうこうなったら逆に、なるべく難しくないこと、役に立たないことを、

と考えていたらこの人の顔がでてきました。

 

その名も上薗拓郎くん。

福岡にある印刷会社の営業マンで周りからはカンゾンさんと呼ばれています。同じ鹿児島出身で、歳も近いので日頃から仲良くさせてもらっているのですが、2015年のK-ADCでは、「Mr.パーティ」としてアフターパーティのキャラクターを努めていましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

まずもって印刷会社の営業の人がなぜにK-ADCのキャラクター?というところから普通じゃないんですが、このカンゾンという男、福岡の広告業界では知らぬ人がいないぐらいの有名人で、デザイナーはもちろん、印刷に全く関係のない映像業界にまで、まあ顔が広い。僕は仕事のスタッフィングで困るとカンゾンに電話して「こういう仕事が得意なデザイナー知らない?」とか「あの仕事のプロデューサー知り合い?」とか聞いて紹介してもらってるくらいです。まるで一人マスメディアン。

 

そんなに顔が広いなんて、本人を知らない人は、さぞかし仕事ができて、キレキレのデキる男を想像するかと思うのですが、残念ながらそうではないようで。。。アジズ・アンサリの傑作『マスター・オブ・ゼロ』は、「何にも極めていない人」という意味ですが、つまりまあ、そのような人です。皆まで言わすな。

 

さて先日、警固のとあるBarで『チキチキカミゾノ七変化』というイベントがこっそり行われました。

 

言うまでもなく、ダウンタウンのあの番組の名物企画をなぞったイベントですが、カンゾン自ら企画し、人を集め、プロのヘアメイクさんまで手配したんです。なんなんだその情熱。

 

見守ったのは、カメラマン、アートディレクター、CMプランナー、CMプロデューサーなど福岡広告業界の錚々たる面々。そこで披露された魂の7ネタ。もしかしたらネタそのものじゃなく、彼のキャラクターで笑わされた部分もあるかもしれない。しかし、彼なりに練られ考えられたそのネタは、素人がやってもまったく笑えないのでは?との危惧もあった中、しっかりとその場の笑いを取ることに成功したのでした。僕も笑ろた。で、6千円払ろた。(7回中、1回だけは我慢した)

 

彼は本番の2ヶ月も前から、心ここにあらずといった様子で懸命にネタ作りに励んでいました。横からこっそり覗いたネタ帳には、案がビッシリと!本業の仕事の方もあれくらいの熱心さで取り組めば、と思うのですが、そう思うのは凡人の発想でしょう。

 

お笑い芸人なら、舞台やテレビという場がある。CMプランナーなら企画で、アートディレクターならデザインで、多くの人に見せることができます。しかし、カンゾンにはない。

 

それでも。

 

カンゾンは今日も、彼なりのオモシロを、非公開のグループLINEや、飲み会でただただ垂れ流し続けています。つい昨日の夜も、その場にいたみんながカンゾンにヒーヒー笑わされました。でも、なんでヒーヒー笑わされたのか翌日にはもう忘れてます。果たしてこれほど純粋なクリエイティブがあるでしょうか?無償のクリエイティブ。

 

カンゾンの生き方は、僕たちに問いかけます。
「お前はデザインがしたかったのか?デザイナーになりたかっただけか?」
「お前はクリエイティブがしたかったのか?クリエイターになりたかっただけか?」
と。

 

眠れない夜を越え、40歳を越え、いまだ家庭もなく(失礼)、お金や名誉とも無縁なカンゾンさんですが、なぜかとても幸せそうです。なんでもないようなことがとても幸せそうです。

 

甲本ヒロトは、KAMINOGEのインタビューでこう言っていました。
「ロックンロールでお金持ちになりたい、有名になりたいとか言ってる人たちの気持ちが分からない。僕は唄うこと、ステージでワーッと暴れてやることでわりと完結をしてるんだよ。僕はもう楽しみをそこから全部もらっているから、自分の分け前をすべて手に入れているんですよ。その先にあるのは全部おまけなんだ。」

 

しまった。勢い余って、ヒロトまで引用してしまった。ヒロトもビックリしてマイク落っことしちゃいますね。

 

しかし、観念やルールや正義に囚われ、なんだか息苦しいこのご時世。人の心を動かすのは、意外にもカンゾンみたいな人の自由で純粋な発想なのかもしれません。もしかしたらそのうち、何か大きいことをしでかすような気もしますが、ただの気のせいかもかもしれません。

 

あ、ここに書くことも許可もらってないけど、日頃から「僕、人間フリー素材なんで。」って言ってるし、きっと大丈夫でしょう。

こちらはそんなカンゾンと一緒に企画したCMです。天才カンゾンの明日はどっちだ!

 

次回のBATON TALKは・・・

宮元 健一郎
pass the baton!

さてさて、次にバトンを渡すのは、我がふるさと・鹿児島の星、冨永功太郎くんです!

ブランディングやパッケージデザインなど、本質を捉えた誠実なデザインで鹿児島のデザインを引っ張る存在。郷土を愛し、鹿児島にこだわって頑張ってる姿にいつも勇気づけられています。

まあ、なにせいいヤツ!あの太い眉と大きな目で、デザインへの熱い想いを語られるといっぺんにファンになります。きっとクライアントからも深く信頼されてることでしょう。

同級生、きばいやんせよ〜

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