九州アートディレクターズクラブ

BATON TALK

Posted on 2017-07-26

新代表の梶原さんからバトンリレーいただきました

九州ADC元代表の伊藤敬生です。

 

ここ「九州ADC」のHPはアートディレクターという仕事をご存じない方、

興味を持っている方も覗かれるであろうと思います。

であれば、いい機会でもあるのでここで私たちアートディレクターの生業に関して

あらためて書き記しておこうと思います。

 

ポートレート:愛犬ログ(左)プウ(右)と

 

 

 

はじめに

 

これはいろんなところで言ってることですが

まず、私たちはアートディレクターである前に

”誰かを誰かに好きになってもらうため”のラブレター

果敢に執筆する「ラブレター代筆職人」なんですね。

 

なんとも、おこがましく、おせっかい

そう感じながら、裏方としてせっせと毎日ラブレターを代筆する

そんな、かなり根暗といえる人種なんです(笑)。

 

で、さらにアートディレクターって人たちはというと

まず、告白者(発信者)側の熱い想い(多くの情報)を整理整頓し

そのラブレターをシンプルに美しく視覚化し

告白の好感度や伝わる速度・精度を上げることの専門職。

 

その目的のためには

意外にも表面的なデザイン(お化粧)はあえて行わず

圧倒的に情報渋滞が増していく社会の中で

広く生活者側の情報摂取率を上げながら

情報発信する側、される側の「関係をデザイン」し

SNSで発信者ともなった生活者と共に情報をシェア。

生活者と表現を共創できる環境をつくるところまでも

その仕事はどんどんと広がってきています。

 

そんな複雑な時代、経済が豊かになる反面で

大きく深く社会が困惑し病んでいくような時代に、

私たちアートディレクターが、その生業でできる

例えで言えば「ある種の医療行為」があるかもしれない。

 

ここでも、おこがましく、おせっかいに

そう感じることが増えてきています。

 

「正しい問診がなければ、正しい治療もない。」

 

自身の「疾病」を決めつけて医者にかかる患者は多いものだが

例えば「風邪をひいたので風邪薬ください」では、まさに医者要らず。

本当の「疾病(問題)」を見落としてしまうどころか

それでは、そもそもの「治療(問題解決)」にはならないことが多いのです。

そう、アートディレクターが持つべきは「表現力ではなく解決力」なのです。

 

(この先はまた別の機会に)

 

マツヤレディスポスター:アラスカ篇

 

マツヤレディスポスター:ケニア篇

 

90年代、梶原さんは「岩田屋」。僕は北天神にあった「マツヤレディス」。

共に天神流通施設のアートディレクターとしてしのぎを削っていました。

画像は、その当時制作した「マツヤレディス」夏のイメージポスター

世界中をめぐり、夏を知らない人たちに夏を語ってもらったり、

夏しか知らない人たちに夏を語ってもらったりしました。

 

 

 

最後に、新代表梶原さんについて

梶原さんは、マスを中心とした広告業界から離れ

あえて町医者的なアートディレクターへ転身した

今の潮流を象徴する存在と思っています。

私のような広告代理店に在籍するアートディレクターは

いわば総合外科病棟に勤務するチームバチスタのいち執刀医。

実はマスな広告では解決できない治療が

世の中にはたくさんあることを知ったうえで

彼は依頼主の個々の心にまで寄り添い、その疾病を共に直し

健康な体と心を繕う人を目指しているんですね。

 

思えば23年前、僕も故郷長崎でそんな町医者を目指し

独立しました。もし今、自分がその個人病院を切り盛りしていたら……

そんな空想をするたび、梶原さんの姿が重なる

心から尊敬する大いなる同志です。

 

共に、名前につく「生」の字に負けないよう

これからも愛するここ九州から、依頼主や生活者のみなさんと共に

お互い新しい価値を生み出し、息長く育み合いたいもの。

 

梶原さん!これからもよろしくお願いします。

 

次回のBATON TALKは・・・

伊藤 敬生
pass the baton!

さて、次にこのリレーコラムのバトンを渡すのは
2010年、東京から熊本に移住し、八面六臂の活躍をする
気鋭のアートディレクター、佐藤かつあきさんです。
佐藤さんは、通常の仕事以外にも「BRIGE KUMAMOTO」など、
ソーシャルなクリエイティブ活動も積極的に行い
目を離せない存在。いつもたくさんの刺激をもらっています。

そんな佐藤さんのコラム!どうかお楽しみに!

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